アルバイトをして知った
福祉の現状
「株式会社 mcs.Link」は、宮崎市の現役大学生が設立した会社です(登記申請中)。障がい児童福祉施設向けの業務サポートアプリ「リンク⁺」(リンクプラス)を開発し、8月から販売しています。代表取締役の藤島旺志さんは、広島県出身で宮崎大学工学部の3年生。子どもが好きで高校教師を目指していることもあり、学生時代にしかできないことをしようと、大学1年の夏から障がい児が通う施設でアルバイトを始めました。「バイトをする中で気づいたのが、職員の方たちの事務作業の多さ。行政に提出する書類や保護者との連絡帳など、同じような内容をいくつも書かなくてはならず、子どもたちと接する時間が少なくなっていました」と藤島さん。さらに、複数の施設に通っていたり、頻繁に施設を変わったりという子どもも多く、施設間の情報共有に課題があることも分かりました。
学生時代にしかできないことの一つが、この髪の色。「第一印象はあまり良くないのですが(笑)、絶対覚えてもらえます!」
やると決めたら
とことんやる!
このような現状を多くの人に知ってもらい、福祉の現場の環境が少しでも良くならないかと考え発案したのが「リンク⁺」です。藤島さんは、昨年10月、宮崎大学と宮崎銀行が主催する「令和2年度宮崎・学生ビジネスプランコンテスト」に出場。一緒にアルバイトをしていた同級生の栗坂明佳さんと、同コンテストの事前合宿で知り合った今西美澪さん(宮崎公立大学2年)の3人でタッグを組み、プレゼンをしました。その結果、「リンク⁺」は宮崎銀行頭取賞をはじめ、大会タイトル最多受賞という快挙を成し遂げました。しかし藤島さんのすごいところは、プランのままで終わらせず、実際にアプリを開発するため起業を決意したこと。「周りから『無理でしょ』と言われても、できるまでやる頑固で負けず嫌いな性格なんです」と笑います。今年2月にはクラウドファンディングで141人から合計100万円余りの支援を受け本格始動。エンジニアとして開発に携わった宮下丈明さん(宮崎大学工学部4年)など、現在はメンバー6人で、学業と両立しながら営業活動に奔走中です。
昨年度から宮崎大学の学生以外も出場可能になった「宮崎・学生ビジネスプランコンテスト」。「第20回九州・大学発ベンチャー・ビジネスプランコンテスト」では3位に相当する賞を受賞
子どもたちのために
大人がLinkする
「リンク⁺」は、行政への提出書類と連絡帳の記載内容が重複しているところを、一度の入力で作成することができます。スマホからもアクセスできるWebアプリなので、いつでもどこでも入力や閲覧が可能。現在、藤島さんのアルバイト先の施設で使ってもらいながら、バグの改良や機能の追加を行っています。「職員の方からは書類業務が軽減したという声をもらいますし、保護者にも『施設での様子が随時チェックできるのでうれしい』と好評です」と藤島さん。営業に行った施設からも、ぜひ導入したいという前向きな返事があったそう。「大学をはじめいろんな人たちのサポートがあったからこそ思い切ったことができました。このアプリで支援学校・福祉施設・家庭がリンクし、障がいを持つ子どもたちが伸び伸びと成長してくれればと考えています」。
「今後はアプリだけでなく、ホームページ作成やイベント運営、SNSの運用代行などを通して、施設をサポートできる会社にしていきたい」と藤島さん
※タイトル写真は、右から、月足天衣さん(宮崎大学工学部2年)、今西さん、藤島さん、宮下さん、栗坂さん、重永怜哉さん(アドバイザー)。現在はこのメンバーで奮闘中
株式会社 mcs.Link
【会社概要】
業種:情報通信業
E-mail:office@mcs-link.com
公式ホームページ:準備中