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宮崎西高等学校附属中学校 課題解決学習プログラム

CAREER

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宮崎県立
宮崎西高等学校附属中学校
キャリア教育

7月下旬から10月中旬で、宮崎県立宮崎西高等学校附属中学校2年生約80名を対象に、初の取り組みとなる「課題解決型学習プログラム」が実施されました。「課題解決型学習プログラム」とは、地域事業者の課題を生徒自らが抽出し、解決策を論理的に考える、全7回の新しいキャリア教育プログラムです。10月13日(木)に実施した、取り組みの集大成となる生徒たちの最終発表の様子を取材しました。

今の時代だからこそ必要な力を育んでほしい

木幡先生の画像 普段は社会科を担当している、木幡先生

木幡 佳子先生「これまでの職業体験は、生徒が各事業者の皆様の現場に伺い、実際の業務の一部を体験していました。しかし、コロナ禍でそれが難しい状態に。

また、社会が大きく変化する中、これからの時代は与えられたものをこなすのではなく、自ら能動的に創り出していくクリエイティブな能力が必要となってきています。

学校にいながら、そういった発想を養うことができないかと、宮崎県キャリア教育コーディネーターの稲田 佑太朗(いなだ ゆうたろう)さんに相談し、今回のプログラムを実施するに至りました。」

稲田さんの画像 自身も公務員や一般社団法人として起業など、様々なキャリアを持つ、稲田さん

宮崎県キャリア教育コーディネーター 稲田 佑太朗さん「今回は、課題解決にいきるクリティカルシンキング(論理的思考)やシステムシンキング(構造を理解し、解決を図る手法)という思考を取り入れてプログラムを進めてきました。

プログラムの内容としては、初めに地域事業者の現状や課題をヒアリング。その後は、生徒たちが自ら課題を抽出し、その課題を解決するにはどうしたらいいのか、生徒同士で考えていただきます。先生や私も伴走し、個々のグループごとに追加のリサーチやディスカッションを重ねながら、今日の最終発表の日を迎えました。

クリティカルシンキングシステムシンキングは、実は大人でもなかなか難しいスキルです。しかし将来の予測がつかない今、自分で問題を発見して解決していくという主体性が求められる時代になっています。自分で考えて動くということを学生のうちから大事にしてほしいなと思います。今回得た経験や知識は、どんな分野でも必ず役立つスキル。それぞれの未来に役に立ててほしいですね!」

最終発表!多種多様な提案で大盛り上がり

今回、事業者として参加したのは「スパイスカレー屋 パンくんのカレー(宮崎市)」店主 峯村 拳(みねむら けん)さん。小学生のころから自分でカレーを作るほどカレーが大好きだった峯村さん。添加物の入っていない、こだわりの「無水チキンカレー」で若者を中心に人気を集めています。

パンくんのカレー店舗内の画像
トリプルカレーの画像 スパイスカレー屋 パンくんのカレーの「トリプルカレー」。
名物の無水チキンカレーの他、週替りなど3種のスパイスカレーが1度に楽しめる。

プログラムの第1回目では「店の現状」や「今後やりたいこと」「商品のこだわり」などを生徒たちに共有。質問タイムでは、生徒たちの半数40名ほどの手が挙がったそうです。

最終発表はコンペ形式ということで、どのグループも真剣そのもの!プレゼンテーションにも熱が入ります。

プレゼン準備中の生徒の画像 ギリギリまでプレゼンテーションデータを調整する生徒たち
プレゼンテーションの様子の画像01 キャッチコピーやデザイン、プレゼンテーションの方法までどのグループも工夫が盛りだくさんだった
プレゼンテーションの様子の画像02 使用するスパイスを使用したオイルで汎用性を出し、スパイスカレーを一般化するという提案
プレゼンテーションの様子の画像03 スパイスカレーを食べるとガチャガチャを回せるというゲーミング性を組み込んだユニークな提案
プレゼンテーションの様子の画像04 具体的なメリット・デメリット、その解決方法まで示し、優位性を出す。
実際のビジネスプレゼンテーションに近しいスタイルだった

どうやったらもっとたくさんの人にパンくんのカレーを知ってもらえるのか、こんなメニューや売り方をしてはどうかなど、その根拠から期待できる効果まで提案されていました。

全7回のプログラムを通し、生徒たちが峯村さんのお店の課題を真剣に考え、自分達で意見を出し合って考えてきたことがよく伝わる時間となりました。

パンくん賞発表の画像 「パンくん賞」を発表する峯村拳さん

最後は、稲田さんと峯村さんからそれぞれ優秀賞を発表。2人に選ばれた生徒たちは、とても嬉しそうな表情でした。

賞を取り喜ぶ生徒の画像

発表した生徒からは、「飲食店の経営の難しさを感じた」「他の店舗との差別化はどうすればいいかをみんなで考え、解決策を考えるのが面白かった」と感想が聞かれました。

生徒たちとの交流で忘れていた価値観が蘇る

笑顔の峯村さんの画像

峯村さん「いつかこういった活動はしてみたいと思っていたので、お話をいただいた時とても嬉しかったです。今回中学生たちが真剣に店のことを考えてくれ、具体的な案や思いつかないようなアイデアをぶつけてくれたので、とても面白かったですね。

大人になると難しく考えてしまいがちですが、中学生と触れ合うことで、忘れていた純粋な気持ちや価値観を蘇らせてもらった気がします。キャリア教育に関わって、想像以上に得られるものがたくさんあり、人生においてこんなに良い経験はないなと感じました。」

地域の事業者のより深いところまで主体的に考え、課題を解決することにフォーカスした今回の取り組み。

与えられたことをするのではなく、自分で考え、仲間と共有しながら解決策を考える一連の流れは、まさに社会でも必要なスキルです。

新しい時代を担っていく中学生たち。いろいろな人の考え方や生き方を学び、経験を重ねながら、クリエイティブな力をどんどん育んでいってください!